今、大人たちがこの国の若者を語るとき、そのやる気のなさや元気のなさが問題視されることが少なくありません。しかし、一方で彼らの一側面に焦点を当て過ぎているため、若者全体が誤解されているという側面があるのも事実です。私たちは、多くの若者たちと接する中で、彼らの心の中には、火をつければ燃え上がる熱いものがあることを確信しています。HDPは、そんな若者たちを対象に、本気の情熱に火を付け、彼らの成長と夢の実現を支援するプロジェクトです。私たちは、若者支援の中心的な存在として世の中の閉塞感に風穴をあけ、社会を後押しするような熱い情熱の嵐を吹かせていこうとしています。
プロ野球の監督として現場で指揮を取っていた時から、数年が経ちました。その間、私はさまざまな活動を通し、一歩引いた立場で日本と世界のスポーツ界を見続けてきました。そこで感じたのは、日本の若者を取り巻く環境や社会構造についての課題の大きさです。このままでは、若者が持つエネルギーが活かされないままになってしまうのではないか。私は日本のスポーツ界の将来も、日本の若者の未来も信じています。日本にも豊かな才能と熱い情熱を持った若者がたくさんいることを知っています。そして、今はその才能と情熱を全開させる場を見失っているだけだと思うのです。
そこで、私にできることを模索した結果が、今回のホシノドリームズプロジェクト(HDP)を通しての活動でした。HDPが目指す目標は、野球をはじめ、あらゆるスポーツを行っている若者の可能性を伸ばし、その能力をスポーツ界にとどまらず、広く社会にフィードバックさせることです。彼らには、スポーツ選手としての可能性も、ビジネスマンとしての可能性も、人間としての可能性も秘められています。そんな若者たちのエネルギーに火をつけたい。そんな“夢”を周囲に相談したところ、幸いにも多くの方の理解・協力が得られ、HDPはスタートしました。現状の日本のスポーツ界は、大手企業がスポンサーとしてサポートしないと成立しない状態にありますが、地域活動を通してスポーツをする若者たちや団体を支えたり、元気な中小企業が集まり、大きな志に向けて気持ちを一つにすれば、これまでにない若者支援の仕組みを作り上げることができます。HDPは皆で力を合わせることで、これまでにないムーブメントを生み出そうとしているのです。
スポーツの世界には、自分を磨き、挑戦し続けている若者は大勢います。でも、そのほとんどはプレーヤーの道を途中で諦めざるを得ないのが現実です。しかし、彼らにはスポーツを通して培ってきた価値観、人間力があります。すでに海外インターンシップや高校生キャプテン会議など、さまざまな取り組みによって彼らの将来の可能性に刺激を与えてきていますが、彼らに対しできることはまだまだたくさんあると思うのです。そして、いずれはここで育った能力ある若者たちが、日本およびアジア各国のスポーツ界だけでなく、広くビジネス界や教育・福祉等の世界へと飛び立ち、日本や世界をリードするような人材として活躍してくれれば願っています。
その夢が実現するのは、5年後、10年後のことかも知れません。でも、こうして確かなビジョンを提示すれば、それに応える情熱ある若者も、熱い支援者も大勢集ってくると私は信じています。これが“スポーツ界”、ひいては広く“社会”への恩返しという、私自身の“夢”でもあり、スポーツに恩返ししたい全ての人の夢を実現する方法だと信じています。若者がそれぞれの“夢”に向かって一生懸命努力し挑戦する姿は、その成功、失敗に関わらず、それだけで尊いものです。そんな若者を支援しようという熱い思いの方とこれからも共に挑戦していきたいと思います。
2010年2月15日
Hoshino Dreams Project チェアマン 星野 仙一





